思慕に凪いで淡々と眠る
まあいっか。
もういいや。
ばっかりが増えていく。
楽になっている。
楽になっていく。
時々「違うよ」って声がする。
でももうその「違うよ」に立ち向かおうとする気持ちは失くしてしまった。
決定を下したくない。
あるがまま、周りで起きていることにそのまま馴染んでいたい。
自由って多分そういうことだと私は思う。
自由になりたいっていう意思を持ってしまう時点でその意思から自由にはなれないんだと思う。
だから今はとても自由。
そしてそれは少しだけ悲しい。
悲しいけれど、逃避しかけた歪んだ時間の片隅で、光を拒絶する深黒の丸い2つの空洞が、少しだけ凪いで艶をもって笑う。
それをそのままにしておきたい。
ただそういうものとして目を瞑っていたい。
銀、象牙、濃紺、緑。
黒。
少しずつ疲れながら、少しずつ距離を取って、少しずつ浅くなっていく。
どうかそれぞれが、少しずつ輝いて、少しずつ近づいて、少しずつ深くなっていますように。
対極ですべてを忘れていますように。
私にだけいつまでもこのフィルム達が残っていますように。